CLOSE UP ! Vol.7

トミさんのお仕事について

  第7回はトミさんのお仕事についてです
 またまた間が開いてしまいましたが、Close Upのコーナーに新しいコンテンツをアップしようと思います。ずいぶん以前に寄稿いただいていたのですが、ここらで富田選手のお仕事についてご紹介したいと思います。富田選手は「研究職」に従事してるわけですが、田村選手とはまた違った視点から、お仕事について語って頂きました。

  トミさんのお仕事は?
 私は、大学を出た後、6,7年前から某独立行政法人に所属して、しがない一研究員をやっております。研究者って何者かと問われると私もうまく答えられないのですが、その実態は、ほぼ田村先生のご高話で言い尽くされていると思いますのでそちらをご覧下さい。さて、一般の人から見た研究者像は、どんなもんでしょう。

  「自分の興味あることに没頭している。」「こむずかしいことばかり考えている。」「いつも白衣を着ている。」「ときどき頭が爆発している。」「ファッションには無縁。」「ついついハカセと呼んでしまう。」「なんだかえらそう。」「頭がいいんだか悪いんだか分からない。」と言ったところでしょうか。要するに、少しは尊敬するけど、実態が分からないので得体が知れない人種と思われているようです。周りの研究者を見ると、上記のほとんどは少なからず当たっているような気もするし、そうでない気もします。実際にはいろんな人がいます。私の場合は、自分の興味は持っていますが必ずしもそれにだけ没頭しているわけではありませんし、少しはこむずかしいことは考えますが、白衣は全く着ませんし、実験で頭が爆発していることもないし、ファッションは・・・無縁かな?「ハカセ」と呼ばれたことはありますが、決して偉ぶっているつもりはありません。頭も普通の人と大差ない、と思っています。

  なぜ、研究者になろうと思ったか?
 これは、よく聞かれる質問です。研究者になる動機は人様々ですが、よく「何々に魅せられてこの世界に入りました。」とか「考えることが好きだったので」とかを耳にすることがありますが、振り返ってみると、私にはお恥ずかしいことにこれといった動機がありません。

  「何かに魅せられたか?」否。その時々で好きなことが変わっていく。大学院時代の研究と現在の研究の関連性はあまりありません。更に現在でも自分の研究分野以外の分野に心動かされてしまうことがあります。

 「考えることは好きだったか?」 是も否もなし。自分では取り立てて頭を使うことが好きという実感がありません。こむつかしいことは実は大嫌いです。よりシンプルな考え方の方が全然、性に合っています。シンプルな考え方に到達するために、こむずかしいことを考えなければいけないこともありますが。

 実は、就職するのが嫌で嫌で、気づいたら知らない間に大学院博士課程へ進学し研究者の世界に紛れ込んでしまったようです。しかし、よくよく考えると、これには理由がありそうです。理系の場合、一般に大学院修士課程まで出て会社へ就職します。普通は、研究者にはなりたがらない人が多いようです。別にお金が儲かるわけでもないし、なんだか得体の知れなさそうな世界だし、その世界でやっていく自信もない、つぶしが利かない、などなど。私の場合幸いにして(?)、お金に関しては、そこそこ生活できればいいやって思っていましたし、なによりも得体が知れないということはありませんでした。私のおやじが研究者だったからです。研究者の生活は、幼いころから察していましたし、仕事のしんどいところ、楽なところはおやじを見ていてなんとなく分かるものです。私にとっては、「会社へ勤めるということの方が得たいが知れなかった」んですね。また、本当に幸いだったのは、親がこんなモラトリアムな私に何も言わず、30歳手前まで経済的に援助してくれたことです。これには、今でも本当に感謝してしまいます。

 おやじは分野は違えども研究者の世界へ足を踏み入れてしまった息子にしめしめと思っていた感があります。ちなみに、おやじはどういう研究者だったか?最初に列挙した一般の人からみた研究者像にピッタリと当てはまってしまいます。自分の興味あることにこむづかしく没頭し、いつも小汚い白衣を着ており(化学者だったので)、ときどき頭が爆発しており(これは寝癖)、もちろんファッションには無縁、融通が利かず頭がいいんだか悪いんだか分からない(笑)。

  しかして、やっぱりサラリーマン
 さて、「会社へ勤めるということの方が得たいが知れなかった」こんな私ですが、博士課程修了後、この時点で、結局お勤めしなければいけないことにようやく気づきました。ほんとアホですね。仕方がないので、適当に就職活動し現在の職場にいるわけですが、大学院時代とはまるで違う研究スタイルに正直最初は戸惑いました。大学院時代は、本当に一人でそのとき自分の興味のあるところを心ゆくまでやっていたのですが、現職場では、グループ研究が主になり、のんびりと構えていられません。時には、やりたくない仕事も緊急で仕上げなければならなかったりします。このあたり、お給料をもらっている以上(更にそれが国民の血税)「古き良き大学での研究スタイル」(おやじの時代)を通せる時代ではなくなってきたようです。でも、私は、本当に重要なあるいは画期的な研究成果というのは心にゆとりをもって楽しみながら行う研究から生まれてくると信じており、いつもどこかで心の余裕を持つように努力していきたいと考える今日この頃です。

  管理人からのコメント
 トミさんこと、富田選手は私が生まれて初めて知り合った「研究者」だったわけですが、その研究内容については何度聞いても理解しきれるもんじゃありませんでした。でもトミさんからすれば、我々のような商売人とか公務員とかっていうのが、また得体の知れない仕事に見えるんだから、面白いもんですね。AMIGOSには色々な職業の人がいる、その混沌とした状態、これこそがチームの活力の源泉であることを、改めて強く感じました。